2019年8月29日(木)

今回の卓話

「ポリオの会と私 今私にできること ~そして世界のポリオ根絶に向けて私にできること」

ポリオの会 世話役
丸橋達也

皆さま初めまして、丸橋と申します。 本日は、卓話の機会を与えていただき本当にうれしく思います。

私は1965年昭島市に生まれ、生後7か月の時にポリオの生ワクチンの定期接種を受けました。約2週間後に高熱が出て、おむつ替えの時に左足がパタンと落ちてしまうことに気づいた母が病院に連れて行き、検査の結果、ワクチンによるポリオと診断され、隔離病棟で2カ月間の入院をすることになりました。

ポリオの生きたウィルスを弱めたものを身体に入れて抗体をつけるのが生ワクチンです。1960年頃に日本ではポリオが大流行し、母親たちがワクチンを海外から緊急輸入するように厚労省に押しかけて要請し、ポリオの流行を収めたという歴史があります。生ワクチンは有効ですが、まれにポリオの症状が出てしまうリスクがあり、それが私のような生ワクのポリオです。一方、病原性をなくした状態の不活化ワクチンというものがあり、これは麻痺を起こすことはありません。しかし、コストが高いこと、医療従事者による注射での接種、注射器の廃棄の問題がデメリットとしてあります。

母子手帳に「生ワク投与」というハンコが押してありました。これが私の運命の日となりました。母が作ったアルバムには、昭和41年5月9日から7月5日まで約2か月間入院したこと、両親にとって一生忘れることができない悲しい時期であったことが書かれていました。自分が子供を持つようになってわかるのですが、やはり親が一番辛かったと思います。

退院後、小児療育病院で補装具をつける指導を受け、リハビリをしながら松葉杖で歩けるまでに回復しました。

小学校入学の時、障害者が通う養護学校から入学通知が届いたのですが、母が教育委員会に何度も乗り込んでお願いして、普通の小学校に通うことが出来ました。

その後結婚し、子供もでき、何ともなく過ごしていたのですが、40歳の時に身体の異変が少しずつ出始めました。家で転倒して右足を骨折しました。左足は麻痺があるため装具をはめていますが、右足はポリオではない普通の足だと思っていました。しかし、右足も力が入りにくくなってよろけて転んだのです。。

その後、インターネットを通じてポリオの会を知り、小山万里子代表と出会い、自分が生ワクチンのポリオという珍しい貴重な存在であることに気づきました。ポリオを分かってくれる先生と出会い、42歳の時にPPS、ポスト・ポリオ症候群だと診断されました。罹患してから30年後、40年後に再度症状が進行することがあるのです。

小山代表から色々と教えていただき、今でも生ワクによる同じ被害が出ていることを知り驚きました。安全な不活化ワクチンがあるのに、なぜ日本ではそちらに切り替えないのかと思いました。そこで、ポリオの会の活動に一生懸命参加するようになり、厚労省にも不活化ワクチンへの切り替え運動で何回も行きました。メディアにもいろいろと出演しました。

私が訴えたいことは、国が指導しているワクチン行政では、なぜ安全なものがあるのに切り替えないのかということです。私のような生ワクによるポリオが珍しい存在ならば、自分が前面に出たら説得力があるのではないかと思い、さまざまな活動を始めました。

例えば、模擬患者として大学の授業に参加したり、理学療法士の学校でポリオのことを伝えるなど、ポリオを知ってもらうための活動をしています。国を動かそうという思いで何度も議員会館に行きました。ユニセフ議員連盟を訪ね、日本にもポリオ患者がいることを伝えています。ワクチンメーカーの社内研修でも話をさせていただいています。厚生労働省が主体となって3都市で開催される「シーズ・ニーズマッチング交流会」にポリオの会のブースを出して、より良い福祉機器を製作してもらうための活動もしています。明日からは福岡で開催される外来小児学会に行ってブースを出します。リハビリテーション科の先生がたくさんいらっしゃる義肢装具学会にも参加しています。

こうした活動が認められ、先日、社会貢献支援財団から「ポリオの会」が表彰を受けました。式典では、財団の会長安倍昭恵夫人と写真を撮らせていただいたり、とても光栄な賞をいただき、良い思い出になりました。

生ワクチンによる健康被害を受けた人たちの写真に小さな女の子が写っています。この子もポリオですが、症状が重くて色々な障害が出ていて、かわいそうな女の子です。 この子が成長して、今私がお話ししたすべてのことを知った時に、なぜもっと早くこの活動を始めて、もっと早く不活化ワクチンに切り替えてくれなかったのかと言われたら、どうしようと思いました。早くに気づいていたらポリオにならずに済んだかもしれない。そんな子供たちが、まだまだいると思います。ですから、私はこの活動を続けて、伝え続けるということを決めました。

ロータリーがポリオ撲滅を目指して進めているEND POLIOの活動は本当に素晴らしく、世界からポリオをなくすことはとても大切だと思って参加しています。今でも世界では生ワクが使われている国があり、生ワク由来の患者が出ているということも聞いています。

私たちが考えるEND POLIOとは、最後のポリオ患者がこの世から消えたとき、亡くなったときだと考えています。その時には私たちはもういないかもしれない。でも私が伝え続けていけば、その先の人たちが伝えていってくれると考えて、ポリオの会の活動を行っています。私たちの役目はポリオに罹患してしまった患者たちを一生守ることだと思っています。

お話ししたいことはまだまだあります。どこへでも行きます、どこででも話します、どこへでも呼んでください。今のところ私は元気で動けるので、動けるうちはどんどん出かけていって話そうと思っておりますので、是非お声がけください。

有難うございました。

【卓話編集後記】
丸橋様ご自身の幼少期からの体験、活動に対する熱い想い、そして明るいお人柄があふれるお話を聴きながら、例会会場は深い感動に包まれました。また、ロータリーはポリオ撲滅を最優先課題として取り組んでいますが、日本でも未だに解決されていない身近な問題であることを知り、驚きも覚えました。 卓話後の質疑応答では、ポリオの会の小山会長にもご参加いただき、ポリオ撲滅は、単なる病気との闘いにとどまらず、複雑な課題であるという理解も深まり、10月24日の「世界ポリオデー」を前に、とても有意義な卓話となりました。