2019年12月12日(木)

今回の卓話

「脳を元気に働かせるための考え方と記憶の技術」

ライフアセットコンサルティング株式会社 代表取締役
菱田 雅生

皆さま、こんにちは。ご紹介いただきました菱田雅生です。
「脳を元気に働かせるための考え方と記憶の技術」というお話をします。
よりよく脳を働かせる考え方を説明し、たった5分で15個の単語を完璧に順番通りに記憶できるという記憶法を体験していただきます。

皆さん、自分は元々記憶力が悪い、頭が悪いとか、能力は遺伝で決まっている、年齢と共に記憶力は悪くなる、暗記や勉強は大変で辛いものだ、能力や記憶力の要領には限界がある、と思ったことはないでしょうか。これは全部間違っています。

人間の能力や記憶力には、とてつもない力があります。しかし、その使い方をよく知らないので上手に使いきれていません。年を取っても記憶力は衰えません。年を取ると興味があることと無いことの区別がはっきりして、興味のないことは覚えません。人の顔と名前が覚えられない理由はその人に興味が無いからなのです。能力は遺伝によってだけでは決定されませんし、能力や記憶力の容量に限界はありません。暗記や勉強はとても楽しいものなのです。

9年前に米国のタフツ大学のアヤナ・トーマス先生が行った実験があります。20代と60代の人たちに50個の単語を渡して覚えてもらいました。一つのグループには心理学のテストですと言って覚えてもらい、もう一つのグループには記憶力のテストですと言って覚えてもらいました。覚えてもらった後で、50個の単語が書いてある新しい紙を渡して、先ほど覚えた単語と同じ単語があれば丸をつけてもらいました。すると、心理学のテストだと伝えたグループは20代も60代もほぼ同じ正答率でした。一方、記憶力のテストだと伝えたグループは60代の正答率が低かったそうです。 これは、年と共に記憶力が悪くなるという思い込みによるものです。そう思い込むとそうなってしまうのです。

では、記憶の実験を始めます。これから私が言う15個の単語を覚えていただきます。覚えてもらったあとで、私がどうぞといったら書いていただきます。番号と言葉が合っていたら2点、言葉が出てきたら1点と採点します。15個ですので30点満点です。 記憶のやり方をまだお伝えしていないので、今の状態でチャレンジしてみてください。

1番 灯台、2番 金網、3番 王様、4番 ハート、5番 サイコロ、6番 ハチ、7番 標識、8番 ホッカイロ、9番 博多ラーメン、10番 しずかちゃん、11番 水戸黄門、12番 広場、13番 教会、14番 牛タン弁当、15番 佐渡島、以上です。

エビングハウス博士の忘却曲線をご存知ですか。人間は記憶したものの量を時間の経過に比例して忘れていくのではなく、一気に忘れてしまうようです。一日経つと7割は忘れるそうです。 私たちの脳にある短期記憶は2,3分で消えるようです。

では、先ほどの15個の単語を書いてみてください。(会員は回答記入) 30点満点の方は、さすがにいらっしゃらないようですね。 後でやり方をお教えします。

次に20個の単語の瞬間記憶、皆さんに出していただいた20個の単語を私が完璧に覚えてみせます。1番から20番まで順番に言うことが出来るし、20番から遡ることもできるし、何番と聞かれたらその単語を答えるし、単語を言われたら何番と答えます。

(菱田氏の記憶術デモンストレーション)

ここで私が覚えた20の単語は長期記憶の中に入れる方法で覚えたので、1,2週間は忘れません。これは私が記憶のセミナーの講師だから出来るというわけではありません。皆さんも2日間の本講座を受ければ全員できるようになります。やり方があるのです。

よりよく脳を働かせる考え方には6つのポイントがあります。 ① 「できる」という自信と決意。プラスの言葉を使う ② 好奇心と集中 ③ イメージと感受性 ④ 目的とビジョン ⑤ 反復 ⑥ きちんと理解する

プラスの言葉を使うのは重要です。「無理」「難しい」「苦手」というと思考が止まってしまいます。好奇心を持って物を見ると脳は年齢に関係なく元気になります。はっきりイメージすると脳に残る仕組みになっています。1週間前の昼ご飯は覚えていないのに、何年も前にレストランで食べた美味しかったご飯をなぜ覚えているかというと、感情が動いているからです。目的やビジョンがあると脳は元気に働きます。反復することで非常に大きな刺激を脳に与えます。そしてきちんと理解したことは忘れないという仕組みになっています。

さて、先ほどの15個の単語をストーリー法で記憶するという技法で皆さんの脳の中に入れます。記憶の技法は6種類ほどありますが、その中の一つの技法です。物語のように単語をくっつけますので、頭の中で思い浮かべてください。

灯台の先から金網が出ていて、王様がぐるぐる巻きにされていて、ハートのクッションが落ちてきて、中からサイコロが出てきて、ハチが飛んできてサイコロ1個摘み上げて飛んでいったら「止まれ」という標識にぶつかって、標識が倒れてホッカイロにぶつかって、ホッカイロから砂が飛び散って、博多ラーメンに入ってしまって、しずかちゃんがキャーっと言ったら、水戸黄門が近づいてきて「お嬢ちゃんわしと何か食べに行こう」と言われ、表に出たら広場があって、広場の先に教会があって、教会の前で神父が牛タン弁当を売っていて、牛タン弁当を買って歩いていったら佐渡島が見えました。

さあ、皆さん1番から15番まで順番に言ってみてください。 

皆さんが今覚えた単語は、実は意味のある単語でした。人口の多い都道府県の1位から15位だったのです。 灯台は東京都、金網は神奈川県、王様は大阪府、ハートは愛の象徴で愛知県、サイコロは埼玉県、ハチは千葉県、標識は兵庫県、ホッカイロは北海道、博多ラーメンは福岡県、しずかちゃんは静岡県、水戸黄門は茨城県、広場は広島県、教会は京都府、牛タン弁当は宮城県、佐渡島は新潟県、と、人口の多い都道府県の1位から15位になります。このような覚え方をすると記憶の干渉が起きないという仕組みになっています。

以上で私の話を終わります。有難うございました。

【卓話編集後記】
20個の単語を即座に記憶し、順番を変えても見事に再生できる菱田様のデモンストレーションに、会場では会員の感嘆の声が響きました。 また、菱田様に教えていただきながら、会員も15個の単語を短時間で覚える記憶法の実験に楽しく参加しました。 記憶力の衰えは歳のせいだと物忘れする自分を慰めていましたが、歳のせいにしてはいけない、記憶力は年を取っても衰えないという言葉に励まされました。 これからも、自信や好奇心、プラス思考を備えて、脳を元気に働かせ、記憶技術にチャレンジしたいと意欲をかきたてられた卓話でした。