今回の卓話
おはようございます。スタイリストの渡邉美奈と申します。
私は実はロータリアンの家庭で育っております。ロータリーの楽しい思い出はクリスマスパーティで、毎回笑顔があふれる会だと思い楽しみにしていました。
笑顔が好きで、人を笑顔にするのも好きな子供でした。人の良い所をみつけるのが昔から得意でした。ネガティブをポジティブに変える力を持っていたのかもしれません。それが今生かされていると思います。
イケイケバブルの時代には、生意気で鼻持ちならないアフロのスタイリストだったこともありますが、周りの方々の気遣いとお力添えで今があると感謝しております。
私が人生を楽しみ笑えるのはこの仕事のおかげだと思っています。衣装デザインのスタイリング、テレビ、広告、映画、ミュージカル、海外イベント、商品企画など色々な分野の仕事をしてきました。具体的には、テレビの「王様のブランチ」や「とくダネ!」や、「サンリオ」のミュージカル、「ライザップ」の広告、元AKBの方の企画などもやっています。その他、JALの機内誌やスタイリストがセレクトするパソコン、「SONY」のスタイリスト的なカメラの使い方などにも出させていただきました。アフロの頃には沢尻エリカさんが出演していた「Harajukuロンチャーズ」という番組にスタイリストの先生として毎週出演させていただきました。
面白い仕事としては、テレビ番組の「亭主改造計画」でスタイリストをしていました。そのときに、人目にさらされていない一般の方々のスタイリングで、目の錯覚を使って体型を美しく見せるということに面白さを感じるようになりました。錯覚を学んで自分に取り入れればスタイルを変化させて見せることができるのです。
コロナでお家時間が増えて太った方も多いと思います。太るのは簡単ですが痩せるのは本当に大変です。そういう時に活用したいのがストライプで縦長に見せるスタイリングです。
ストライプを使って背を高く見せるには、ボトムスの切り替え位置、ウエストを少しだけ3センチ以内で上に上げます。そしてトップスを3センチ短くします。両方合わせると6センチ長さが下に伸びて見えます。上半身が小さく見えると全体バランスが八頭身に近づきます。切り替えをしたウエストから下を同系色でまとめて縦に長く見せると足長効果が生まれます。スタイルの錯覚としては、トップスを小さくして、肩幅はそのままで腕をおろすとウエストが少しへこんで見えます。そのウエストからAラインの開くスカートにすると、ウエストの幅とスカートの幅の対比でウエストが細く見えます。こういうことを少しずつ積み重ねて全体的にスタイルを良く見せることができます。
手首、足首、首の5か所を見せると細見え効果が生まれて全体に細いような錯覚が起こります。例えば、足首がしまって細く見えるブーツを履いていると全体が細いのだろうという錯覚が起こります。短いブーティも細い足首を見せることで細見え効果が生まれます。
私の仕事の中で目の錯覚を取り入れたなりきりスタイリングの例として対照的なお二人をご紹介します。
まず、水谷豊さん。周りの方々やスタッフにまで気を遣われる方で、穏やかで、知的で、博学で、こだわりのある素晴らしい方でした。そんな素晴らしい水谷さんですので、その素晴らしさを織り込んだなりきりスタイリングを考えました。男性のスーツの襟から中の三角形をゴールデントライアングルと呼び、一番目がいく場所です。水谷さんは小柄なので、このゴールデントライアングルを小さくまとめました。ネクタイは細目にし、ジャケットの襟幅もネクタイに合わせ、少し複雑にするためにベストをいれました。そして小物にはイギリス紳士のような上品な素材の眼鏡を選びました。水谷さんにはイギリスの紳士というイメージを伝えて、なり切っていただきました。
水谷さんとは対照的なのは、北島音楽事務所の小金沢昇司さんです。裏表がなく、嘘は言わない、おべっかを使わない、本当に筋を通す良い方でした。決して硬いわけではなく、朗らかで穏やかで、いつも笑わせてくださる面白い方でした。小金沢さんは身長が高く横幅もあり筋肉質でがっちりしており、お顔もちょっと大きめです。そこでお顔が小さく見えて全体のバランスが整うように、ゴールデントライアングルは襟幅を少し太めにし、ネクタイも太目にしました。小物としてネックレス、ブレスレット、指輪などをつけていただきました。素材感としては光沢感のあるどっしりとしたものにして、イタリアの伊達男、ゴッドファーザー的なイメージを伝えて、なり切っていただきました。このようにイメージを伝えてなり切ってもらうのが一番分かりやすくて速いです。
ファッションのアドバイス的な話になりますが、ヒートテックは生地が汗を吸って熱を出すので、肌を乾燥させる素材だということはご存知ですか。乾燥を避けたいのであれば、シルク。シルクがニットになったものを着るのが肌に一番良いです。着るコラーゲンと言われ、アミノ酸バランスがよくてお肌によい素材です。
また、革は濡らしてはいけないと言われますが、汚れを落としてきれいな水で洗い、乾く前にミンクオイルをつけてください。ミンクオイルがない場合は純粋なワセリンでも大丈夫です。そうすれば保湿効果で長持ちします。靴も同じですので、是非ともやってみてください。
あと一つだけお話させてください。
私は今、乳癌のブラジャーを作っています。私が乳癌になったのは50代で手術は命の選択の一つだと思い、悲しいことはありませんでした。ただ、同時期に20代の乳癌の女の子が手術室に入ったときに、ご両親が顔を手で覆った姿がとても辛く目に焼き付いてしまいました。私はその子のブラジャーを作ろうと思いました。今までのブラジャーは不細工でとても見せられるものではありません。私は見せても可愛いブラジャー、自信をもってつけられるブラジャーを作ろうと思っています。
今、主治医の先生とシリコンの変形を防ぎ、自分の胸の老化に真っ向から立ち向かう唯一無二のブラジャーを作ろうと頑張っています。まだサンプル工場探しの段階ですが、頭に浮かんだものは必ずできると信じているので、自分を追い込むためにも皆さまの前で公言させていただきました。
最後になりますが、私はファッションの面白いところ、楽しめるところが大好きです。皆さまも無理なく錯覚を取り入れて、なりきりファッションをたくさん楽しんでください。
