今回の卓話
本日はこのような席にお呼びいただきありがとうございます。世田谷区社会福祉協議会、地域社協課調整係の係長をしております尾﨑と申します。世田谷区内の子ども食堂について説明をさせていただきます。
子ども食堂の数は全国で9,131か所あります。最も多いのが東京都の1,009か所、次いで大阪府、兵庫県です。もっとも少ない県は秋田県で、次いで福井県、長崎県です。但し、これは子ども食堂の数だけです。充足率が一番高いのは沖縄県です。次いで、世田谷区より人口が少ない鳥取県、その次が東京都になります。
現在、世田谷区内には子ども食堂が77か所あります。東京都の中で世田谷区が一番多いと思います。子ども食堂の定義は、「共働き家庭やひとり親家庭などで遅くまでひとりで過ごす子どもたちの「孤食」、経済的理由による「欠食」などを少しでも減らすため、無料または安価な料金で食事(会食)の提供等を地域住民の方々が行なう地域・地区の活動団体等をいう」となります。
コロナ禍以前の世田谷区内の子ども食堂は、どちらかというと地域の中で楽しんで食事をする場でした。しかし、コロナ禍が明け、世田谷区内でも欠食や孤食のお子さんが急増しています。子ども食堂は月に1回か2回しかできないため、それ以外の食事をどうすればよいのかという相談が寄せられるようになりました。このため、子ども食堂の中に「相談支援機能」が加わり、孤食や欠食への対応を行政や社会福祉協議会の関係機関につなげていくというように変化してきています。
世田谷区内で子ども食堂という名前が出てくるようになったのは平成27年度頃で、社会福祉協議会が把握していた子ども食堂の数は4団体程度でした。その後、爆発的に子ども食堂の数は増えています。昨年までは62団体でしたが現在は77団体です。数が急増した理由には、保険会社等の有料老人ホームが子ども食堂を始めていることが挙げられます。
社会福祉協議会が支援していること、まず、子ども食堂の人材の確保です。次に大変なのが、場所の確保です。月の決まった日に安定的に活動でき、調理ができて子どもがご飯を食べられる場所の確保です。世田谷区社会福祉協議会は区の行政財産使用許可を得て、区内に22か所の拠点を案内しています。そして、食材を購入するお金。これは東京都と世田谷区で半分ずつ財源を持つ、子ども食堂推進補助金が始まりました。しかし補助金もたくさん出るわけではないので、今回東京山の手ロータリークラブからいただけるお米の寄贈などがとても重要になっています。さらに、全国に先駆けて世田谷区独自の取り組みとして、安心して活動できるための保険加入を無料で行っています。買い物に出たスタッフの怪我、子供の怪我、万一の食中毒にも保険対応できるような保険に加入しています。そして、一番大切なのは食材の提供です。寄贈していただけるもので一番うれしいのはお米です。多くの企業からいただく牛乳やパスタソースなどの食材を上手に活用しながら運営資金と合わせて、子ども食堂は活動しています。
平成27年に子ども食堂が始まった当時は、小学校の先生方も子ども食堂をご存じありませんでした。そこで、子ども食堂のPRチラシを小学校に持って行ったのですが、受け付けられないと返されることが多くありました。今はこれだけ子ども食堂が周知されたので、先生たちもPRのチラシや「子ども食堂情報」などを持っていくと学校側で配布に協力してくださっています。また、子ども食堂も変化してきているので、スタッフ向けに年1回か2回の研修を開催しています。
コロナ禍の第一波の時、学校は臨時休校になりました。その時に、子ども食堂に参加していたお子さんが、スタッフのところに来て、「僕、給食がないと困るんだよね」と話されました。子ども食堂の方が慌てて、社会福祉協議会に、コロナ禍だが何とかお弁当を子どもたちに配布できないかと話に来られました。世田谷区長が子ども食堂に寛大な考えを持っていたので、2週間で子ども食堂が再開されました。すると、両親が共にコロナで失職した家庭のお子さんがお弁当を何個ももらうために子ども食堂を渡り歩くということも起こりました。そこで、お弁当だけでなく、様々な企業から提供された食材をお弁当と一緒に渡すということもこの数年行なってきました。
現在はコロナ禍が明けて会食が戻ってきました。ひとり親家庭や経済的な事情で季節行事にまったく触れないというお子さんが、世田谷区内にも多くいます。そうしたお子さんのために、昨年5月の鯉のぼりの時期には鯉のぼりの形をしたお稲荷さんを作ったり、地域の野菜をたっぷり使ったシチューを提供したりしています。ただ、まだ半分くらいの団体では、会食に戻れず、お弁当の配布を続けています。コロナ禍の3年間お弁当が続き、お母さんたちも子どもたちもお弁当をもらい、家に帰って食べるのが楽だということもあります。また、コロナが明けたら子ども食堂が必要な子どもの数が爆発的に増えたために会食ができないという団体もあります。
社会福祉協議会では、寄贈していただく食料品として、お米以外に生鮮食品も受け付けています。但し、冷蔵庫や冷凍庫がたくさんあるわけではないので、ご提供いただける場合は事前にご連絡をいただければ助かります。
今後の課題としては、まず、会食に戻れない団体への対応が挙げられます。場所の提供や人員の確保を区と調整しながら行っています。次に、子ども食堂の数は増えてきていますが、子どもだけではなく、収入が低い高齢者や一人暮らしの方、少し障害を抱えた方が子どもたちと一緒に食事する地域食堂、多世代食堂への支援も行う必要があると考えています。そして、子ども食堂のスタッフは大学生から80歳まで多岐にわたる年代の方々がいます。こうしたスタッフへの研修強化もこれから先進めていきます。
本当に世田谷区内に子ども食堂が必要なのかという話を色々な方から尋ねられたりします。今年も夏休みが終わった後に小学校から連絡がありました。中長期の休み明けに痩せてしまうお子さんが学校に数名いるのです。経済的な理由で痩せてしまうお子さんやさまざまな理由で欠食になるお子さんがいらっしゃいます。世田谷区内でも様々な理由を抱えて、子ども食堂に参加しているお子さんがいることを、頭の隅に置いて覚えていただければと思います。
ありがとうございました。
Q&A
Q: PRチラシを学校で最初受け取らなかったのは何故でしょうか。
A: 支援が必要な子にチラシを渡してほしいとお願いしましたが、学校としては、全員に渡すことはできるが、この子が支援が必要だからとチラシを渡すことはできないと言われました。地域の団体は500枚も600枚もチラシを印刷することができなかったので、そういう点がうまくつながらなかったのだと思います。
Q: 私たちが子ども食堂で何かお手伝いできることはあるのでしょうか。
A: あります。三角巾とエプロンを持ってきていただいて食事の提供をしていただくとか、子どもの学習支援で宿題を見ていただくことなどご協力いただければと思います。
Q: 畑で余った野菜を処分していることがある。行政に働きかけてそうした野菜を活用できないか。
A: 世田谷区や目黒にも畑があり、JAから余った野菜を子ども食堂に提供していただいています。
