2024年2月8日(木)

今回の卓話

「『NPO法人イランの障害者を支援するミントの会』の現地活動について」

NPO法人イランの障害者を支援するミントの会
理事/作業療法士・公認心理師
秋山佳世子 様

今日はお招きいただきありがとうございます。「NPO法人イランの障害者を支援するミントの会」の秋山と申します。私の職業は作業療法士で、おととし公認心理師の資格を取りました。精神科の病院に作業療法士として15年間勤務した後、現在は、主に横浜で精神科の訪問看護ステーションで、精神疾患を抱えた方の自宅に訪問するなどの仕事を行っています。

私とミントの会との出会いは、日本だけでなく世界の人たちの暮らしに対する興味から国際協力のイベントに行ったときに、リハビリの支援も必要だと聞いて参加したのがきっかけです。

ミントの会は、代表のパシャイが日本で働いている時に不慮の事故で下半身不随の障害者となってしまい、日本でリハビリを受けて、障害があっても家で生活できるようになったという体験から、祖国イランでも同じ障害を持つ人たちのために何かしたいという思いで立ち上げたのが出発点です。

ミントの会の活動内容は、主に3つあります。1つはバリアフリー事業です。現地は、車いすの方や障害を持つ方々が外出するには不便な土地柄です。そこで、障害者が外出しやすくなるにはどうすればよいかということを行政と協力しあって行っています。さらに、リハビリ、ホームケア支援を行っています。どうすれば障害者が外出できるか、家でよりよく暮らせるかということを支援しております。そして、障害教育です。子どもの頃から障害を理解し、どうすれば車いすの人が動きやすいかといった視点を持てるような教育を行っています。

現地の様子を写真でご覧いただきたいと思います。

まず、イランの住環境ですが、家はほとんど石やレンガで出来ています。住居が2階で1階が駐車場となっていると、階段で上り下りする生活になり、車いすの人は介助する人がいないと外出できません。外の歩道もでこぼこしており、高さや幅が違うために目の不自由な方は歩きづらい街になっています。そして食事はペルシャじゅうたんの上に座って食事するという生活様式ですので、体が不自由な方はベッドに座ったままか車いすに乗ったまま食事することになります。

バリアフリー事業の一つとして実施したバリアフリー研修では、障害を持つ当事者と、行政や一般市民の方も一緒に街歩きをして不便な場所を体験してもらい、どのように解決すればよいか、日本の技術で伝えられるものはあるかといった積極的なコミュニケーションを図りながら街づくりを行っています。

リハビリテーション研修では、神奈川県立リハビリテーションセンターの理学療法士等の先生方に一緒に渡航して頂き、現地で研修を行いました。(写真は)ボッチャをみんなで楽しんだり、自宅に訪問して体の動かし方やご家族に介助の仕方を指導しています。

イランでは、脊髄損傷の患者であっても入院期間は長くても1か月程度です。そのため、病院でリハビリをほとんど受けられず、身体の感覚もなく自分で動かすこともできない状態で家に帰されてしまいます。金銭的に余裕のある方はリハビリを受け、中にはアメリカやカナダでリハビリを行ったという話も聞き、その差が大きいのが特徴かと思います。そこで、日本の理学療法士の先生からリハビリの指導を受け、身体の動かし方を教わると非常に驚かれたりします。体を起こすところから始めて、色々なことができるのを実感するように指導しています。

2019年に現地の障害児のデイサービス施設の代表の方と交流を持ち、見学に行きました。つい最近もZoomを通じて、この施設と日本の特別支援校の教員の方とで意見交換を行うなど、今も交流を続けています。

コロナ禍を経て、昨年9月に4年ぶりにイランに2週間ほど行ってきました。滞在したのは市役所の研修棟です。ミントの会代表のパシャイがバリアフリー研修で市の建築土木の職員と協力体制を組んでいるので、市役所の配慮で建物を貸していただきました。ゆうちょ財団からの助成金で行った活動の一つは名刺づくりです。障害を負って仕事もできず、アイデンティティが障害者という人生から、さらに何か目指すものを作るきっかけになればと思い、自分の名刺をつくる活動を実施しました。

ミントセンターでは、リハビリやトレーニングだけでなく、ここに来れば仲間がいて情報交換ができる、そういうつながりをたくさん作りたいと思い、ミントデーというイベントを行いました。カレーや焼きそばを作ってみんなで食事をしたり、日本の紹介や一緒に踊ったりして楽しい時間を過ごしました。

貼り絵をしたり、新聞紙で兜を作ったり、自転車こぎでトレーニングしたり、ボッチャをしたりしています。また、日本から持って行ったwiiでバランス訓練やボウリングして盛り上がったりして過ごしてもらっています。

ただ、ミントセンターに通えるのは、移動手段が確保できる一部の人たちだけです。通所が難しい障害者の方たちにも行き届くような活動をさらに進めていければと思っております。今後もイランの方々との交流を大切にしながら、またイランに行って活動しようと考えています。皆様からご協力をいただければと思います。

ありがとうございました。

Q&A

Q: リハビリの施設は現地には多いのでしょうか、それとも数が足りないのでしょうか。

A: 施設は全く足りていません。キャラジシティにはミントセンター以外に1か所だけです。

Q: イランは紛争があったというイメージがありますが、実際はどのような感じでしょうか。

A: イランはイラク等と離接していますが、国境沿いを除けば、基本的にイラン国内は外務省からも安全な地域と認識されています。追記 イラクへ仕事で行き来する方や、宗教行事でたくさんの市民の方が巡礼にイラクに行かれており、日本人のもつイメージと実際は違います。

Q: 現地でボッチャをやる人がいるのでしょうか、試合や大会について教えてください。

A: ミントセンターはキャラジ市が拠点となって行っています。初めて見たという方がほとんどです。大きな大会はありますので、障害者のスポーツ競技として行われているようです。