第1680回例会:2024年6月13日(木)

今回の卓話

「2025 東京デフリンピック」

公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構
東京都聴覚障害者連盟 会長
粟野達人 様
同行手話通訳者
田中照代 様

只今ご紹介いただきました東京都聴覚者障害者連盟会長の粟野達人と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。私は元々生まれた時から耳は全く聞こえません。皆さんは普段パチパチと拍手されますが、私は耳が聞こえないため、手をヒラヒラさせることが拍手の代わりになります。聞こえない方がいる時の拍手はこれでお願いしたいと思います。

世界で一番大きなスポーツ大会は、現在四つあります。一つ目はオリンピック。オリンピックの競技種目は28競技です。二つ目はパラリンピックで22競技あります。三つ目はスペシャルオリンピックスという大会です。パラリンピックに参加できない三つの種類の障害者がいます。聴覚障害者、知的障害者、精神障害者の方々ですが、この中の知的障害者と精神障害者の方々はスペシャルオリンピックスという競技に参加しています。そして四つ目が、聴覚障害者が参加するデフリンピックという大会です。競技種目は21競技です。

オリンピック、パラリンピック、スペシャルオリンピックス、デフリンピックは4年に一度、世界持ち回りで、夏と冬に大会を開催しています。

デフリンピックは、耳が聞こえないろう者だけのオリンピックと言われており、国際オリンピック委員会の公認大会となっています。

デフリンピックの21の競技種目は、陸上競技、バドミントン、バスケットボール、ビーチバレーボール、ボウリング、自転車競技二種目のロードとマウンテンバイク、サッカー、ゴルフ、ハンドボール、柔道、空手、オリエンテーリング、射撃、水泳、卓球、テコンドー、テニス、バレーボール、レスリング二種目のフリースタイルとグレコローマンです。

この中で珍しいのはボウリングです。オリンピック、パラリンピックには無く、デフリンピックだけの競技です。サッカーはオリンピックと同じように、男子サッカーと女子サッカーがあります。オリエンテーリングもオリンピックやパラリンピックには無い珍しい競技です。コンパスを使って道の無い林の中のポイントを駆け巡る競技です。

デフリンピックは、世界約100か国から約5000人が集まる大きな競技大会です。

歴史を見ると、1896年に第1回大会が開かれたオリンピックの次に歴史が長いのが1924年に第1回大会が開かれたデフリンピックです。パラリンピックは1960年が第1回大会、スペシャルオリンピックスは1968年が第1回大会です。

しかし、知名度で見ると、オリンピックは国民の100%が知っており、パラリンピックは98.2%、スペシャルオリンピックスは19.8%であるのに対し、デフリンピックの知名度は16.3%です。これは、テレビや新聞、また本などでの広告といったマスメディアにあまり取り上げられないためで、非常に残念なことです。

デフリンピックとパラリンピックの大会を一緒に開催しないのは何故かと疑問に思われると思います。その理由は三つあります。 

一つ目は、パラリンピックでは、視覚障害者だけの競技、車椅子だけの競技、肢体不自由者だけの競技と分かれており、平均3競技しかないことです。ろう者が参加できる競技がデフリンピックでは21競技に参加できるのに、パラリンピックでは3競技にしか参加できないため、独立したデフリンピックという競技大会を開催しています。

二つ目は、パラリンピックの選手は全員障害者ですが、耳は聞こえるので、マイクの案内で選手には十分に伝わります。聞こえない人にとっては、通訳もおらず、字幕もなく、情報保障がありません。スターターのピストルの音が聞こえないという状況では参加できないのです。

三つ目は、歴史的にパラリンピックは、戦争などによる肢体不自由者のリハビリを兼ねた競技になっていることです。デフリンピックは、ろう者がオリンピック選手と同じようにタイムを競うという考え方で、審判の準備、交渉、運営もすべて自分たちの力で行っています。

デフリンピックの凄さは、パラリンピックと異なり、オリンピックのルールに則ったハイレベルの競技大会であることです。スターターの音の代わりにランプで合図をしています。この視覚的な合図がデフリンピックの特徴です。

来年2025年11月15日から26日までの12日間、東京の各会場で100年目のデフリンピックが開催されます。しかし、知名度が低いために、スポンサーや寄付が集まらず資金も大変な状況だと聞いております。また、メダルを獲っても報奨金はありません。耳の聞こえない選手がすごく頑張っているのに、報奨金を出すことができないというのは非常に残念ですので、皆様には是非PRをお願いしたいと思います。また、デフスポーツサポーター制度の会員も募集しております。

最後に、2025年、ろうの選手が東京で頑張ってたくさんのメダルを獲ると思いますので、是非とも応援をよろしくお願いいたします。

質疑応答

Q:日本ではデフリンピックの知名度が低いとのことですが、海外ではどうでしょうか。

A:知名度が高い国は韓国です。また、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、中国といった国々でも知名度があります。メダルを獲ると500万円、400万円という報奨金が出る国もあります。その点も含めて日本では知名度が低く、非常に困っているという状況です。

Q:オリンピックと同じルールで競技されているそうですが、過去にオリンピックの選手よりも優秀な成績を出したことはありますか。

A:過去を調べてみると、有名なのはフェンシングです。ハンガリーの耳の聞こえない選手がオリンピックで4年連続してメダルを獲った例があります。また、バレーボール、サッカーでは、耳の聞こえる選手の中に1人2人の耳の聞こえない選手が入ってメダルを獲った国もあると聞いております。

Q:日本のチームが金メダルを獲ったのは、どのような種目でしょうか。

A:日本選手団で一番金メダルを獲っているのは水泳です。一人の選手が何個もメダルを獲っています。他には、陸上、女子バレー、バドミントン、テニスなどがあります。