第1731回例会:2025年9月4日(木)

今回の卓話

「汽車の乗り方物語」

ワイツー設計株式会社
(建築設計・施工、鉄道関連設計・施工)
東京山の手ロータリークラブ会員
宇井 安信

どうも皆さん、宇井安信です。白状します、私は生粋のコテコテのオタクです。
暇さえあれば、秋葉原や中野あたりをうろちょろしている人間なんです。
縁あって山崎さんのご紹介でこのロータリークラブに入れていただきました。
また私はある政党??に所属していまして、フュージョン・バンド:元カシオペアの向谷実さんが会長を務める「日本鉄道党」という名の、鉄道好き・鉄道のための政党(ジョーク政党)なんです。
今日の卓話は、オタクの私にしてはオタクレベルをかなり下げさせていただいて、また、題名に 「はじめての」 を増結させていただきたいと思います。
「オタクよもやま話 鉄道編 オタ度指数10% 超入門 はじめての汽車の乗り方物語」です。
それでは皆様に今から153年前にタイムスリップしていただきます。
まだ鉄道が走り始めたばかりのその時代、人々はどうやって汽車に乗っていたのでしょうか?

■鉄道の夜明けと社会の激変

日本の鉄道は、井上勝(日本の鉄道の父)という方が中心となってイギリスから技術を導入し、明治5年(1872年)10月14日に新橋・横浜間で正式に開業しました。
実はその前に、品川・桜木町間ではすでに仮営業が行われていたんです。
これは練習運転も兼ねていて、まだ正式な開業前にお客さんを乗せて走っていたんです。
当時の汽車は、小さな機関車に6メートルほどの客車が数両つながったもので、運賃は現在の価値に換算すると、下等で約9,000円、上等だと約27,000円もする(上中下等制)、とても高額でした。これは、当時の人々の生活水準から見ても、まさに「文明開化」の象徴だったと言えるでしょう。江戸時代から明治時代へと社会が激変していく中で、鉄道は郵便制度や暦の変更と並んで、人々の生活様式をガラッと変える大きな要因だったのです。

■明治時代の鉄道ルールと意識改革

鉄道運行のためには、運行する側も乗る側も、その知識がありませんでした。そこでイギリスやフランスの指導を受け、全部で25条からなる営業ルールが定められました。このルールには、切符を買う、指定場所で喫煙するといった現代に通じるもののほかに、女性専用車両や、酔っ払いは乗車禁止という、当時としては画期的なルールも含まれていました。
驚くべきは、このルールを破った時の罰金です。車内で「屁」をこいたり用を足したりすると、高額な罰金が科せられるという文献が残っているんですよ。当時の運賃から考えると、罰金は今の価値で十数万円にもなり、とても払える金額ではなかったでしょう。
そして、この時代に最も重要だったのが「時間」と「時計」の概念でした。江戸時代の不定時法から、鉄道の定時運行に必要な「分単位」の感覚へと、人々の意識を改革する必要があったのです。これについては、機関車のトーマスも言っているように、時間と時計がなければ鉄道は走れないんですよ。
さらに、当時の人々は、身分が違う人々が同じ車両に乗り合わせるという「乗り合い」の習慣にもまだ慣れていませんでした。武士も、農民も、商人も、みんなが同じ箱の中に乗り、マナーを守って移動するという、今では当たり前のことを、先人たちは懸命に学んでいったのです。

■旅立ちの物語

当時の時刻表を見ると、品川・横浜間の所要時間は最短で35分と、時速50km近いスピードで走っていました。これは、現在の京浜急行の普通電車よりも速いんです。機関車の性能上のトップスピードが約50kmだったので、まさに必死に走らせていたんだろうなと想像できますね。
そして、今の自動放送とは異なり、出発前には駅員が肉声で案内をしていました。当時、鉄道員の制服はフランスやドイツの軍服を参考に作られていて、私が今かぶっている帽子もその初期のデザインを再現したものです。鉄道グッズショップにもなかなか当時物は売っていないので、自分の頭の型紙から作って、材料を買い集めて、この2週間ほどで作ったんですよ。駅員は「横浜行き発車いたします。皆さんご注意ご乗車ください。」と大きな声で案内しハンドベルの鐘を鳴らして、乗客を送り出していたのです。
この時の駅の様子は、まるで飛行機に乗る感覚に近かったようです。発車の15分前には駅に来て、切符を買い、用を足して待機し、5分前には改札の門が閉められるというルールがあったのです。
私たちが現在、当たり前のように鉄道を含む公共交通を利用できるのは、当時の先人たちが懸命にルールを学び、意識を改革してくれたおかげなのです。
その歴史と文化は、鉄道・公共交通機関の発展 また 趣味の世界においても脈々と受け継がれています。

■次回予告?????

「オタクよもやま話 模型編 オタ度指数65% 中級 1/80の世界を走る カメラカーの映像と共に」 です。
私は、カメラカー(リアルタイム伝送)という特殊な模型を使い、80分の1の世界を実際に運転席から見ているような映像を撮影しています。
このカメラカーは、京急ミュージアムに納品させていただきました。また、大宮の鉄道博物館のジオラマ改修工事の線路敷きに活用しました。
乞うご期待?????

本日はご清聴ありがとうございました。
出発進行!