今回の卓話
認定NPO法人テラ・ルネッサンス創設者・理事の鬼丸です。本日は、山の手ロータリーの卓話という貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます。
私たちが活動を始めたのは、2001年。大学4年生の時に、カンボジアの地雷被害者支援を通じて、紛争で傷ついた人々の存在を初めて知りました。そこから、特に日本でほとんど知られていなかった子ども兵士の問題に目を向け、活動の柱としています。
■「子ども兵」という現実
「子ども兵」とは、18歳未満で武装勢力の支配下に置かれた子どもたちのことです。彼らは武器を持って戦わされるだけでなく、武器や弾薬の運搬、家事、時には性暴力の対象にもなります。世界には約30万人の子ども兵が存在すると言われていますが、その多くは貧困やイデオロギーによって自ら兵士になるのに対し、私たちが支援しているアフリカのウガンダでは、99%が「神の抵抗軍」という武装勢力に誘拐・拉致されていました。
私は2004年にウガンダへ渡り、元子ども兵士たちと出会いました。彼らは誘拐され、自分の友人を誘拐させられたり、家族を殺害させられたりするような、想像を絶する体験をしていました。体は大人になっても、心の傷は深く、社会に戻る術を失っていました。
■「スマイルハウス」が示す支援の本質
この現実に対し、私たちは「スマイルハウス」という社会復帰支援プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、元子ども兵士たちに3年間の支援を行います。
最初の1年半は、心のケア、基礎教育(読み書きや計算)、そして職業訓練(服作り、大工など)を提供します。ここで重視しているのは、彼らが自立できるよう、現地の経済の中で現金化できる技術を身につけることです。
その後の1年半は、彼ら自身が立てた事業計画に基づき、開業資金を貸し付け、実際にビジネスを運営する経験を積んでもらいます。テラ・ルネッサンスのスタッフは彼らに寄り添い、伴走しながら、お金を稼ぐことの難しさや喜びを共に学びます。
この支援の結果、元子ども兵士たちの月収は平均で約5~6倍に増加しました。しかし、本当に重要な変化は、数字には表れない部分にありました。
■「ビジネス」がもたらす人間性の回復
お金を稼げるようになるにつれて、彼らと周囲の関係性が劇的に改善したのです。元子ども兵士は、被害者であると同時に、村人から見れば「加害者」でもあります。そのため、彼らが村に戻っても、差別や偏見に苦しむことが少なくありませんでした。
しかし、なぜか彼らへの見方が少しずつ変わっていきました。その大きな理由は、彼らの自尊心が高まったことにあります。
ビジネスは、誰かを信頼し、誰かから信頼されることで成り立ちます。価値を交換し、拡大させる過程で、彼らは「自分は必要とされている」「自分にもできることがある」と実感しました。つまり、ビジネスは、人間性を回復・成長させるための最大かつ最良の手段だったのです。
元少女兵のモニカさんの事例がそれを物語っています。彼女は支援を受けて洋服屋さんを開き、成功を収めました。すると、彼女の村の貧しい女性たちが「私たちも学びたい」と集まってきました。資金に限りがあるテラ・ルネッサンスが支援できないと伝えると、モニカは自分のお金を高利貸しから借りて、女性たちのための洋裁学校を開いたのです。彼女は自らの力で、差別と偏見に満ちた村で、180人もの女性たちの先生となり、経営者となりました。
■平和を創る新たな方法
これらの経験から、私たちは「人は変わることができる」という確信を得ました。そして、「戦争を暴力以外の方法で終わらせること」という、人類史上ほとんど前例のない挑戦を始めました。
元少年兵のパトリスさんは、かつて所属していた「神の抵抗軍」の兵士たちに、自分の成功を語りかけました。すると、彼の言葉を信じた151人の兵士が、武装解除して自らウガンダに帰還しました。これは、暴力を使わずに紛争を終わらせるモデルケースとなり、現在も同様の活動が続いています。
私たちは、この「平和を創る」という取り組みを、日本の若者たちにも伝えています。企業版ふるさと納税を活用し、日本の高校生が紛争地の課題について学び、その解決を現場で実行する平和教育を行っています。これを通じて、海外支援だけでなく、社会課題を自らの手で解決する「平和の担い手」を日本から育てていきたいと考えています。
皆様お一人お一人のご寄付やご協力が、世界を変える大きな力となります。ロータリーの皆様がそうであるように、微力は無力ではないと信じ、これからも活動を続けてまいります。本日は本当にありがとうございました。


