今回の卓話
ミュージカルは「フリフリ」だけじゃない
皆さま、こんにちは。本日はプチ卓話の時間をいただきありがとうございます。あらかじめお伝えしておきますが、紹介にもありました「歌って踊れる」というのは少し誤解がありまして(笑)、私は歌いも踊りもしません。今日は一人の「ミュージカルファン」という等身大の視点から、男性にこそ知っていただきたいミュージカルの魅力についてお話しさせていただきます。
皆さまの中で、ミュージカルに「自分とは無縁の世界」というイメージをお持ちの方はいらっしゃいませんか?「ラブストーリーでしょ?」「ディズニーのような子供向けじゃないの?」「フリフリのドレスを着た女性たちが華やかに踊る宝塚のような世界では?」
実は、そうしたイメージこそが、男性客を遠ざけている要因かもしれません。実際に客席を見渡すと男性は1〜2割。しかし、大人の男性が自分の人生と重ね合わせ、魂を揺さぶられるような演目も確実に存在するのです。
人生哲学を味わう:『ラ・マンチャの男』
まずご紹介したいのが、『ラ・マンチャの男』です。あの有名な『ドン・キホーテ』を原作とした物語ですが、単なる喜劇ではありません。この作品は非常に哲学的で、騎士道精神に溢れています。
松本白鸚さんが50年以上も主演を務めてこられたこの演目は、客席の半分を男性が占めることもあるほど、大人の男性に支持されています。
「事実とは真実の敵なり」「現在の自分を愛さず、将来の自分を愛せ」
劇中で語られるこうした台詞の数々は、荒波を乗り越えてきた経営者の皆さまの胸に、深く突き刺さるはずです。残念ながら白鸚さんは引退されましたが、この魂の物語が次世代にどう受け継がれるか、非常に注目されています。
「しきたり」と時代の変化:『屋根の上のバイオリン弾き』
次にご紹介するのは、『屋根の上のバイオリン弾き』です。
森繁久彌さんや西田敏行さん、現在は市村正親さんが演じている「テヴィエ」というお父さんが主役の物語です。
テーマは「しきたり」です。伝統を守り、家族を守ろうとする頑固な父親が、自由な恋愛を求める娘たちの幸せを前に、いかに時代の変化を受け入れ、葛藤し、許していくか。これは、現代のビジネスや家庭における世代間ギャップに悩むリーダーの皆さまの姿そのものではないでしょうか。派手さはありませんが、しみじみと「親父の背中」を感じさせてくれる名作です。
失敗しない作品選びのコツ
これからミュージカルを観てみようという方に、外さない選び方をお伝えします。原作を知っているもの: 映画やアニメでストーリーを把握していると、歌の場面でも迷子になりません。
大きな劇場で上演されているもの: 帝国劇場や日生劇場など、大きな箱を埋められる作品は、それだけエンターテインメントとしての完成度が高い証拠です。
同年代の主役: 自分と同じ年代のキャラクターが主役だと、感情移入の度合いが全く変わります。
私の「ベスト3」おすすめ作品
私個人が特にお勧めしたいのは、以下の3作品です。
『レ・ミゼラブル』:私が初めて衝撃を受けた作品です。おじさん(ジャン・バルジャン)が一人の娘を守り抜く物語。特に「民衆の歌」は、世界中のデモや反戦活動でも歌われるほど、聴く者の心を奮い立たせるパワーがあります。
『ミス・サイゴン』:ベトナム戦争を舞台にした、人間の業(ごう)を描く物語です。暗い話ですが、狂言回し的な「エンジニア」という役が放つ強烈な個性と、アメリカン・ドリームへの渇望が物語に不思議な活力を与えています。
『ムーラン・ルージュ!』:パリのナイトクラブを舞台にした、贅沢すぎる作品です。最新のヒット曲からクラシックまで70曲以上を凝縮して詰め込んでおり、理屈抜きで音楽の洪水に溺れることができます。
『アナと雪の女王』の観劇会へ向けて
最後に、9月に皆さまと観劇予定の『アナと雪の女王』についてですが、この作品は「子供向けでしょ?」と侮れず、恋愛以上に「姉妹の絆」や「自己の解放」に重点が置かれた作品です。特に第一幕のラスト、誰もが知る「ありのままで」のシーンの盛り上がりは、私が今まで観た数多の作品の中でも群を抜いています。
皆さま、ぜひ「おじさんのための教養」として、ミュージカルの扉を叩いてみてください。劇場を出る頃には、少しだけ世界が違って見えるはずです。9月の観劇会で、皆さまと会場の熱気を共有できることを楽しみにしております。ご清聴ありがとうございました。


